島までは遠い 〜サークルアラウンド株式会社代表佐藤のブログ〜

佐藤正志@サークルアラウンド株式会社のことが少しわかる場所。プログラマーを育てるトレーナーとして、現役のソフトウェア技術者として、経営者の端くれとして、想うことをつづる。

法人向けトレーニングをメニュー化しました。道のりの振り返り(長文注意)。

はじめに

これまでお知り合いベースでは法人さんのトレーニングをしてきたのですが、この度ちゃんと看板立てることにしたんですよ。パチパチパチパチ。

circlearound.co.jp

ちなみに、ここに至るまで個人向けの 個別トレーニング を始めてからそこそこ長い道のりがあったりして感慨深いので、心の声を残しておこうかと思います。

個別トレーニング誕生まで

弊社の創業時はWEBサービスやアプリを売るスタートアップになろうとしていたんですが、私がスタートアップ向きじゃなさそうだったので一回全部綺麗にして*1、一人株式会社で受託しながら今後どうやっていくか悩んでいました。

当時からいわゆるスクールっぽいところ(今巷に溢れているタイプのとはちょっと違う感じです)の外部講師はしていましたし、個人でIT技術を勉強している人を応援したりもしていました。創業前ですが下記の記録はそこから生まれたものです。 qiita.com

「プログラミングを学び合うシェアハウス」という期間限定の企画にも参加できて、年長のオジさんポジションで暮らしてたりもしました。 storys.jp

仕事の現場のプログラマーとしても、新人の個人やチームの面倒をOJTで見てきて、10人くらいは自分なりに育ててきました。人の成長は楽しいし、会社勤めしている時も「人が成長できない会社は傾く」と思っていたので、そういう気質はずっと強かったです。

というわけで人を育てる軸で何かやりたいと思っていたのですが、経営としてやるからにはお金をある程度稼ぎつつ続けられないと、私や関わった人が死んでしまいます。即お金になりやすいのはこれまでのOJT経験を押し出して会社に当たっていく、研修講師的な位置付けでした。

とは言え、以下の2点のような理由でそれは却下しました。

  • 「私が一人で生きていく」のは容易いのですがチームメンバーを増やした時に同じことができる人がかなり限られる
  • 「営業して人に何か買わせる」のは今までの自分の経験上やりにくいと思っていた

別の視点で考えると、当時よく個人の方から相談されていた事があります。

  • 「今後起業したいけれどシステム開発がわからないから知りたい」
  • 「HTML/CSSは自学できたけれどJavaScriptはうまくできない」

提供していた下記のようなセミナーにも、そういう方が結構いらっしゃっていました。

www.street-academy.com

セミナーは伝えるべきゴールを事前に決めて、ある程度一般的な内容を展開せざるを得ません。私の強みは目の前の個にフィットさせる課題解決だったので、「もう少し個人にフォーカスできる形」ならより高い価値を提供できそうだと考えました。今で言うプログラミングスクールのようなものも世間に出始めた時期なので、流れに乗れそうだという事もあります。

というわけで、個人向けにピンポイントで課題オーダーに答える 個別トレーニング を始めることにしたんです。マインドとしては過去培ったOJTの経験があるので、その時のエキスをしっかり伝えていくことを軸にしました。初学者向けも、ある程度経験のある人も教えることはできるので「相談とお互いの納得次第でなんでもあり」としました。

弊社にメンバーが増えたら、その人が得意な技術を限定すれば人に教えてもらえるだろうと考えました*2。トータルで出来上がっていることを望まれがちな法人向けよりも、力になってくれる人も得やすいと思います。

社内の技術力アップへの取り組み

弊社は受託開発も行なっているので、トレーニングの担当者は受託と並行して指導します。バランス取りは私の仕事で、流動的なトレーニングの顧客獲得に合わせて、受託を減らしたり増やしたり、メンバーそれぞれのタスク量も調節します。

トレーニングで伝授できる内容はその導き手のレベルによって変動するので(自分がマスターしていないレベルのことを背伸びして教えようとしても、適切にポイントを伝えて伸ばすことはできないですよね)、少なくとも私が知っている事はなるべく社員メンバーが吸収していくように、これまで続けてきました。たとえば2週に一回「技術定例」という名目で、技術に関することを何でも意見交換しています。

ここでは普段の業務では聞けないようなことをお互いに送受信したいと思っているので、例えば以下のようなことを自由に会話します。準備は全くしないで、ホワイトボードや実際に書いたコードを使って交流して、基本的にキッカリ一時間で切り上げます。

  • 個人で開発しているサービスで困っていることを質問
  • 最近気になるあの技術について意見交換
  • チーム全体を良くするための意識合わせ

そんな取り組みの成果もあってか、初学者の対応は中心メンバーの小笠原がかなり積極的にやってくれているので、私の時間は「オブジェクト指向をもっと深く理解したい」とか「他のメンバーがあまり得意でない言語や環境」など、サブ的なポジションにいても大丈夫な形になってきました。

受託開発とトレーニングのマリアージュ

弊社が個人向けのトレーニングを行なっている事は、受託開発で一緒になった会社さんや個人さん、イベントなどで居合わせた方々に大抵お伝えしています。そのお陰もあってか、これまでもピンポイントで新人を育てるような依頼を何社かお引き受けしていました。

[ケース1] 指導からの受託

少し傾向が変わってきたのが 2018年に受講した人の就職先からのトレーニングの依頼です。オーダーとしては

無事に入社はしたものの先導して教えてくれるような先輩がおらず(周囲が業務委託ばかりだった為)、実開発でのアドバイスを通じてもう少しレベルアップに協力してくれないか

という事でした。弊社としてはトレーニングを巣立っていった人が活躍して欲しいですし、このタイミングで頼っていただけた事は私たちの成果を認めてくれていたという事なので、大変有難い事です。二つ返事でお引き受けしました。

その後、アドバイスのみならず受託で開発のお手伝いもするようになり、本当にOJTのような指導が実現しています。今は私はそちらの現場は離れましたが、小笠原と松倉で指導と開発を行なっています。

[ケース2] 受託からの指導

同様のケースが逆のパターンでもあります。最初は受託開発としてお引き受けしていた仕事のお相手から「新しい社員を迎えるのでトレーニングして欲しい」という依頼です。こちらの会社も先輩社員として牽引するような存在がおらず、仮に社員を迎えてもその人が自力で伸びなければならない環境でした。会社としては成長を加速させて早く独り立ちできるように促したいとのことでした。

受講者のゴール感は私たちがJOINしているサービスを熟知する事なので、ある程度実力がついてからは実際の会社のサービスでIssueをこなしながら学習もしてもらうステップを踏んでいます。もう独り立ちフェーズに入ってきたので、そろそろ我々はお役御免になる予定です。自分たちが居なくてよくなる事が最後の目標なので、あとはなるべく早くその日を迎えるべくメンバーが励んでいます。

今私はどちらのケースも深く関わっていません。私以外の人でもある程度まわせる状況になったと考えるには十分だと思います。

今こそ形に

そんなわけで昨年の5月くらいから、もう少し立てつけをしっかりしてメニュー化するということを進めていました。まぁ、それも「やるから頼む」と、小笠原にムチャブ...ではなく、任せて進めてもらった形です。そしてマーケティングやデザインに関しては助っ人をお願いしました。

どのように広めるかの企画立案には、以前からお知り合いだった宮本さん( @yahsan2 )、デザインには個人向けトレーニングのチラシもお願いした Manatyさん( @ddw_designer | http://www.manaty.tokyo/ )にお声かけさせていただきました。二人の手練れのお陰で、当初の我々のボヤッとした内容がキチッと具現化されたと思います。宮本さんが提案された「カードを利用して既に私たちと知り合っている人から広げていく」手法は人との対面のつながりを重視している弊社らしい入り口になりますし、Manatyさんに至っては「現場の生々しさを伝えたい」ということで弊社にいらして写真撮影までこなしていただきました。お二人の献身に感謝します。

そういった何人もの脳汁と汗が結晶したのが冒頭にご紹介したLPです。大変良いものが仕上がりました。

circlearound.co.jp

こちらは宮本さんの提案から生まれた名刺サイズの割引カードです。弊社メンバーからこれを手に入れると25%オフになります!

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お互いに価値を認め合えるような顧客と長いおつきあいが出来たらと考えています。沢山の会社さんを一気に引き受けられるような体力も無いですし、トレーニングしかできなくなってしまうとトレーナーの実力が落ちるので、やはりバランスが大事です。マインドの会う会社の方、いらっしゃいましたら是非お問い合わせくださいませ。

おしまいに

そんな感じなので、お困りの方いたらとりあえずお声かけいただければ幸いです。相談だけなら無料なので、まずは状況教えていただけると嬉しいです。言語や環境については、会社としてはRuby on RailsやJavaScript、AWSをよく扱っていますが、他言語や環境も内容に応じてお力になれると思います。

ちなみに事前にお声かけさせていただいたある会社さんとはお話が続いていまして、まずはこちらをキッチリとゲットしたいところです。

*1:これはこれで色々キツかったけどゼロから始めるのは嫌いじゃないのでアリでした

*2:実際に、弊社の一号社員の齋藤には「git/GitHubの扱い方を初心者向けに伝える」という十八番のレクチャーがありました