島までは遠い

佐藤正志@サークルアラウンドのことが少しわかる場所。プログラマーを育てるトレーナーとして、現役のソフトウェア技術者として、経営者の端くれとして、想うことをつづる予定。しばらくは工事中。

KPI項目の安易な決定は危険と思っている話

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はじめに

年明け一発目ですね。本年もよろしくお願いします。

弊社では私が忘れ去らなければ「通年KPT」というのをやります。毎週週報をKPT形式でSlackに流してもらってコメントしているのですが、年明けくらいは年間の長いスパンでKPTするのも良いだろうという感じです。今年は少し丁寧にやったので

  • 社員個別にそれぞれKPT形式から広げつつ色々聞かせてもらう
  • 社員メンバーと私でチーム全体のKPTを行う

というような大きく分けて二本立て。私の半日使ってしまいましたが、かなりいい場ができたと思っています。*1 その中で数値目標、KPIについて話した内容を残しておきたかったのでブログっておきます。

重要であることは疑いない、けれど安易に決めれば良いものではない

きっかけは「トレーニングの受講生獲得人数など、数値目標を立てたらどうか」という意見が発信されたことです。

おそらく経営の業績にこだわる人は大好きな話ではないかと思うんです。目標たる数値があり、それに向かうための戦略を立てたりされてますよね。ただ私が知っている『よくある結果』を思い返してみると「KPIを導入するならば、どの項目にするのかを多角的に判断した上でなければいけない」ということがあります。

トレーニングでの例

少し考えてみましょうね。

受講生獲得人数

例えばですが「トレーニングの受講生獲得人数を2018年比120%を目指す」などとしそうですね。仮にそう決めたとしましょう。当然ですが目標を決めたなら本気で達成しに行かなければ絵に描いた餅です。そうすると以下のようなことが発生すると思うのです。

「この人、弊社トレーニングを受けるタイミングじゃないな...。」
「でも、ロストすると今月の目標達成が難しくなるなぁ。」
「とりあえずプッシュしてトレーニング始めてもらうようにするか。」

この結果、適切なタイミングではない人がトレーニングを受講してしまいます。途中で続けられなくなってしまったり、そうでなくとも満足度が下がったりなどするはずです。少なくとも満足度低下は2018年よりも確実に増えると推察されます。これでは本末転倒だと思うのですよ。

顧客満足度

では逆に顧客満足度を上げていくことを考えようとすると、すると満足度というのは「期待値」によってずいぶん変わることが壁になります。また、おそらくアンケートをとって集計するかと思いますが、受講した人であれば低い評価は出しにくいバイアスの大きなものであると想像できると思います。

継続期間

大抵の商売であれば、サービスの利用期間は良いサービスの指針として素晴らしい項目だと思います。

ですが、教育サービスにおいては別です。まずシンプルに考えて、短期間で高い技術を身につけられるのに越したことはありません。もしも長い期間受講するということであると、その内訳として考えられることの中には「なかなか成長できない」「受講生が依存して自立できない」のようなネガティブな理由を内包しています。

逆に、月額料金で行なっているので「その期間顧客が与えられている価値に納得してくれている」とも取れます。さてこの数値をどのように評価するのが良いのでしょう。

もちろん「ネガティブな事は起こり得ない」と切って捨てる手もありますが「目標ギリギリ達成させなければ、更新してくれて期間が長くできる」というような事がチラとでも頭によぎるようなKPIなら無い方が良いのでは無いですかね。

少しまとめ

いくつか例を挙げたりしてみましたが、結構難しい気がしませんか?

「数字を追えば良い」というのは物事をシンプルにしてくれるので、迷いなく集中できるための一つの方法であるとは思います。ですが適切な項目を見つけていくのが非常に難しいと私はよく考えます。

受託獲得の営業メンバーがいるような組織だと「どんどん営業が取ってくるけれど現場の手は足らず、常に炎上状態で結果的に仕事が終わっていかない」というような事があったりするのではないでしょうか。獲得するところをKPIにしてしまうとそういう事が起こるのでしょう。

気にしている数値

これまで社内に特に伝えてはいませんでしたが「気にしている数値」は存在すると話しました。それは

「『受講生が目標としていた技能を身につけた』と少なくとも我々と本人が合意できるような状態がどれくらい作れたか」

です。これでも主観や曖昧さが残るものではありますが、例として挙げた他の数値よりは暗黒面に落ちにくく、「できるできない」で測れる比較的曖昧になりにくい数字だと思っています。

本来は売上や利益のゴールを達成する為の数値をKPIとすべきかと思うのですが、今の所はそういう事にはなっていません。ただし「長期的にはこの考え方で発展は得られる」と考えています。

おしまいに

そんな感じで、よく世間で導入されているからと言って安易に決めると危険では?という話でした。

数字を簡単に掛け算すれば結果が出るようなものであればこんなに楽な事は無いですが、そうでないからこそ面白みもある気がします。法則に従えば良いようなものであればすぐ飽きてしまいますからね。

*1:代わりに私が疲労困憊でした(笑)