はじめに
佐藤さんのツイートでお見かけしたので…
— しおい@福岡から参りました (@coe401_) 2018年12月5日
「アライアンス」は本当に良い本で、「会社と個人の関係」の健全で発展的な可能性を示してくれます。
できれば経営者だけでなく働く多くの人に読んでいただきたいし、社会全体でこれからの会社の在り方を考えていけたらなと思う次第。 https://t.co/nm2J1Mknee
からの流れで、買って読む*1。
ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用
- 作者: リード・ホフマン;ベン・カスノーカ;クリス・イェ,篠田真貴子;倉田幸信
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/07/10
- メディア: 単行本
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こんな本
だいたいこんな感じかな、と。
- 「『終身雇用は通用しない』と認めた上で、会社と社員の間にどのような方法で長期的に良好な(互恵的な)関係を築くのか」というテーマ。
- 社員と会社との関係に「コミットメント期間」という決めを適用し、一定の期間の間に何を求め、何を果たすのかを明確にする。
- 社員と会社の関係は「コミットメント期間」によって複数の類型を持ち、付き合い方の深さを変えていくことができる。
- 会社を出て行った元社員の「卒業生ネットワーク」、知り合いづての「人脈」を活用するとこで会社と社員の長期的な関係を築くことができる。
ポイントとして以下のようなところが心に残った。
- 会社は(自社で提供できないものも含めて)社員の長期的なキャリアを応援すべき。
- 現在就労している社員だけではなく、過去就労していた社員、さらにはその社員の知り合いすらもネットワーク化して広げる、会社に閉じないモデルを目指すべき。
- 後半はなんとなくLinkedInという会社の事業の正当性を暗に後押しするようにも感じた(嫌味な推し方ではないけれど)。
考えたこと
変革型コミットメントを行う主体について
私はあまり従業員を固定期間的な付き合いと考えたくないので、その意味では相反する内容を提示された感覚。ただし、弊社ではこれを社員枠で行なっていないようだ。弊社基準だと以下。
社員:
会社のビジョン・文化・メンバーにフィットする。- 完全なビジョンフィットが難しくても、最低でも文化やメンバーはフィットしているべき。ビジョンまでフィットすれば最高。
- 本書で言う、基盤型コミットメントに近い。
業務委託:
シンブルに社員でカバーできない能力を一時的に補う関係。- ただし、これを続ける中でビジョンや文化へのフィットが確認されるケースはあると考えている。
- 本書で言う、ローテーション型コミットメントに近い。
変革型のアクションはビジョンへの合致があって初めて本質的に実現する気がしているので、社員メンバーによって行うものと決めている。「変革するのは基盤を担う人間であるべき」と思いたい為だ。
今後短期間のコミットにより達成すべきアクションが発生したと仮定しても、やはり業務委託からスタートして社員への流れを考えそうな気がする。社員扱いを考えるようなメンバーに対しては、成長のステップをどのように用意するかをかなりコストをかけて考えている。業務委託の場合には、一定期間で離脱する人と考えて、そこまでの成長ステップを考えない(それでも自分が起業する前に関わったどの組織よりもチームメンバー個人の成長にコミットしているとは思っている)。
退職した社員=卒業生について
卒業生ということだと今はまだ社員が退職した経験を持っていないが、トレーニングを受講し、弊社メンバーと良い師弟関係を築いている別の意味の卒業生達が育ってきていると感じている。会社を退職する人はなるべく減らしたい(その為に雇い入れるハードルも高い)けれども、トレーニングの卒業生は長くとも数ヶ月ペースで増えていくので、この感じがとても近い気がしている。実際に卒業してフリーランスになった人が仕事を手伝うような場合もある。
今年の忘年会で集まった時にもこの感じを受けていて、初期の卒業生はフリーランスであったり、起業してシステムを顧客に提供したりしている事もあって、今の受講生が目指すべき背中を示してくれているし、そういう中での「濃い繋がり」にそれぞれが価値を感じてくれている気がする。特に今年は就職活動組が多く、その結果もかなり良好なのでまた3年後くらいが楽しみだったりするのだ。
考えのまとめ
本書で伝えられていたことについて、私は違うアプローチで似たような結果を生み出すような気がしている。長期的に続ければ続けるほど強くなっていくビジネスを目指しているので、卒業していったメンバーが数年後社会に大きな貢献ができるようになり、彼らと私たちが一緒に仕事したり、私たちが育てるメンバーの目指すべき背中になってくれることをとても期待している。
そういう未来への期待を実現する上でも、一人一人の受講者をなるべく望みを実現する形で送り出してやりたいと願っている*2。
本書が示しているゴールを実現するには、会社は社員に嫌われてはならない。使い潰す駒のように扱う文化では実現し得ない。この点に関して私が目指している文化とかなり近いので、枝葉は違えど目指す世界が似ているように感じた。
おしまいに
経営を志す人に読んで欲しい本の筆頭かもしれない。本書には目指すべき組織文化のイメージが明瞭に描かれており、その組織の強靭さは推察に難くない為である。紛れもなく「いい会社」ができるであろうことが気持ちよくイメージできる。私はこういう会社を目指す経営者が増えて欲しいと願っているし、自身の会社が(アプローチが一致しなくとも)同様な会社になっていくことを思い描いている為だ。
ここのところ本を買っても読みきれなかったり、そもそも買うことを躊躇してしまうことが多い中で、本書はかなり私に近い思想を持って書かれていた為か、抵抗なく読み進めることができた。また、多読の方が良書と紹介されている本はやはり読んでおいて損は無さそうだ。