島までは遠い 〜サークルアラウンド株式会社代表佐藤のブログ〜

佐藤正志@サークルアラウンド株式会社のことが少しわかる場所。プログラマーを育てるトレーナーとして、現役のソフトウェア技術者として、経営者の端くれとして、想うことをつづる。

自分なりに「独身40代の孤独」と向き合う

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はじめに

本当はIT技術とかプログラマーのキャリア的な内容で一本書けたらなと思っていたんです。でも帰りの電車で見かけたこの内容が僕に響いたので、勢い付けに缶ハイボール軽く飲みつつ書いてみることにしました。

qtamaki.hatenablog.com

僕は今年42歳で独身であるから、まさにこの記事のターゲットだと思います。最初に伝えておくと、僕はこの記事の人達ほど孤独を感じてはいないように思います。そのことを中心にできればと思っています。猫を飼ってもいませんし、瞑想もしていません。

純粋な「友達」はいなくなったし、増えることもない

「社会人になると、友達ができない」

どこかで聞いた話ですが、僕にも当てはまると思っています。比較的初対面を得やすい仕事内容と立場に身を置いていますが、仕事経由で出会った人は仕事の相手であるし、会社のメンバーを友達扱いしないというのは自分なりの決め事でもあるので、特別な趣味も持っていない僕には友達の増えようがありません。

では過去の友達と思っていた人達はどうかと言うと、元記事と同じように「昔話」をする相手にしかならなくなったんです。

僕にとっては「今」や「未来」の方が大事なので、彼らの「過去」を引き合いに出す内容が馴染めないのです。かと言って自分の日常や未来の話を彼らにしたところで噛み合わないのです。「明日職場に行くの嫌だ」と言っているような連中に「自分の会社は今後こういうことやりたいと思ってて、こんなことやるんだ!」などと伝えても、面白い内容にはなりませんし、そんな話を下手に引っ張ろうものなら「あいつは自分の立場を鼻にかけている」と思われるのがオチでしょう。結果的に僕の日常については積極的に言葉を出すことは無く、彼らの愚痴を聞くだけになります。もともと人の話を聞く側のポジションで定着しているのでそれ自体は問題ありませんが、今の僕にとって楽しい話は出てこないのですね。

そういうことが気になってしまってからは古い集まりから遠ざかるようになってしまいました。昔あんなに楽しかった集まりが、そうなるなんて予想もしなかったのですが。

ちなみに仕事の関係から始まっているとしても声をかけてくださるのは嬉しいので、なるべく一緒させていただいています。いつも声かけしてくださる方には感謝しています。

会社の存在

友達が増えることは無いのですが、仲間は増えているんですね。僕にとってサークルアラウンドという会社は自分の一部を切り出した存在なので、その会社に賛同してくれる人が中や外に増えていくのはとても嬉しいことです。幸い一定の絆が発生する仕事であるので、卒業した人たちが活躍しているのを知るのもとても楽しいです。

会社を作る前から人が成長するところにはコミットしてきていた事があるので、今それなりに大成していたり一定の立場に身を置いている人がいたりします。そういう人達に、今自分の事業で育って巣立っていく人を紹介したりできて、中にはそのまま会社のメンバーになっていく流れを作る事ができたりする為、今はとても充実しています。過去の自分の振る舞いが誰かに影響を与えていて、そういう人がお互いに連携していく様は大きな満足を与えてくれます。自分の過去や今の振る舞いが無駄では無いことを実感させてくれます。これは孤独に争う一つの手段になっているのでは無いでしょうか。

「10年後の彼らが楽しみだ」

という表現をよくするのですが、こうやって未来への芽を育てていく事の充実感は遺伝子に組み込まれているものではないかと感じています。子供を育てたことはないですが、親とはこういう気持ちを持って子供を育てているのかも知れないと想像しています。「ただ放置していただけだ」と僕の両親は言っていましたが。

自社のメンバーについてはそれ以上に成長を楽しみにしていて、僕と一緒にやっている中で何か伝わるものがあれば良いと思っています。ずっと一緒にやっていく事が確定はしていないと思っていますが、一緒の時間を過ごした中で社会人やプログラマーとしての哲学が伝わったらこんなに嬉しいことは無いです。

そういう中でも自分の中の決め事はいくつか持っています。今回の文脈だと下記が合致しそうです。零細企業なのでもっと家族的にやるのが良いのかも知れませんが、

  • メンバーを自分の友達扱いはしない
  • メンバーの会社以外の時間を大事にする

ということは気をつけています。どんなに仲良くできても経営者と従業員と立場の違いはあるので、自分の言葉が強制力になってしまう可能性があるはずです。端的な例で言えば頻繁に「飲みに行くぞ」と誘うのもよくある零細な会社の形かもしれませんが、あまりにプライベートに介入すれば会社や私との関係が悪くなった時に逃げ場所が無くなってしまうでしょう。そういう時にこそ会社外の関係性が大きな意味を持つので、普段から会社外の付き合いを大事にして欲しいのです。私が自分の甘えを律することも必要だと思っています。

健康とか恋愛とか

とりあえずお酒には弱くなりました。

次の36時間くらいの能力の低下を覚悟しないとちゃんと飲めないので、必然的に回数が減っています。会社に関係ない人間関係は夜のお酒からスタートする方が楽だと思う方なので、これが友達が増えないことに拍車をかけました。立場的にも、もっとお酒の場所にも出てネットワーキングした方がいいのかも知れませんが、あまりできていませんね。本当は好きなんですけどね。大好きなんですけどね。お酒。

運動はした方がいいなと思いながら、全然できていません。今後を考えるとしておくべきと思いながらも、今は自分の会社に時間を使う方が有意義ではないかと考えています。「もう少し会社に余裕ができたら」と思っていて、年々良くはなっているのでもう少しですかね。

もう結構長い間恋もしていなければ恋人もいませんが、それなりに楽しくやれています*1。現実問題として魅力的な異性と知り合っても、なかなかそれを赤裸々に表に出しづらいと思います。40越えた頭のハゲかけたオッサンから好意を寄せられて嬉しいと思う人はそうそういないでしょう。元々軽いアクションが好きな方ですが、最近ではそういうことは適度に抑制していて極端に表には出さないように振舞っています。婚活的なものをしようともあまり思っていなくて、いわゆるスペックで相手を探そうとも思っていませんし、スペックで判断されるのも嫌なんですよね。

先に書いたように30歳位までだと夜遊びをよくしていて、そういう場所で知り合うのは結構好きですが、お酒控えるようになってからは減ってしまいました。「飲み歩くよりも『別のこと』に時間を費やしたい」と思い始めてからは余計ですね。『別のこと』はこの後の話に続きます。

...とは言え、たま〜に「こういう時に誘える人いたら良いな」と思う瞬間はあったりもするんですけどね。

夢中になれるものの存在

過去から今にかけて夢中になれるものは下記でしょうか。

  • プログラミング
  • 人を育てること
  • 理想の会社

プログラミングは僕が最も良質なフロー状態に入れる行為なので、成長と幸福感を生んでくれるものです。35歳で定年などせず、今でも新しい言語を学び、欲しいサービスのコードも書いて、レビューもしています。20代の頃にはここまで夢中になれると思っていなかったのですが、もうかれこれ20年以上も付き合っている最高の仕事であり、最高の趣味です。没頭していると孤独など感じている暇は無いので、それだけで充分僕の人生を豊かにしてくれています。

人を育てることについては先に書いたような話ですね。巣立った人たちが活躍するのは大きな喜びです。

ここ数年はこれらに加えて自分の理想とする会社を作りたいと思って日夜励んでいます。若かった頃の僕が「ぜひ入社したい!」と門を叩いてくれるような会社を作るのが目標の一つです。概ね成功しているとは思っていますが、まだ課題はあるので今後も精進していきたいです。今の事業も「苦労してプログラマーとして成長してきた自分が欲しかった存在を自分で生み出したい」と思って続けています。サークルアラウンドが過去の自分のような人を救ってくれるようになって欲しいです。

こんなことを続けていると孤独を認識する暇も無いようです。

未来に夢見ているものの存在

僕は死ぬまでに実現したいこととして「島を買う」ということを決めています。ただこれは「島を買うための大金儲けをしたい」という意味ではありません。根源は以前会社のブログに書いた下記ですね。不幸な未来予測を覆せる自分になりたいんですよ。自分の思う幸福を守るために。

circlearound.co.jp

島で何がしたいかと言えば、実験や研究です。例えば下記でやっているような農業の自動化の研究などはその一環です。うまく自動化できれば極小の労力で死なない程度の食べ物が手に入ったりすると考えています。

blog.farmbot.jp

実は島でなくとも良いというのはわかると思うのですが、象徴として「島」という言葉が良いなと思っていて、こういう話をした時に「何かやろうぜ」と思ってくれるような人と一緒に活動できる事が楽しみの一つでもあると思っています。

「諦めてはいない。だけど覚悟はしている。」という心持ち

ここまでつらつら書いてきましたが、おそらく僕は「より多くの楽しみを手に入れる事で孤独をあまり感じていない」という結果になっていると思います。ただ、これが10年先、20年先にどうなるのかはよくわかりません。本当は家庭を持つようなこともあった方が良いのかも知れません。少なくとも両親はとても喜ぶでしょう。

どこかのタイミングで自分と一緒に歩んでくれる人が現れることを諦めてはいません。そういう人がいたら今よりももっと楽しくなるような気がしますしね。ただ、それを楽観していられるような状況でも無いと認識しているので「ずっとこのままでも大丈夫なように覚悟はしている」というのが今の心境でしょうか。今までに別の道を選べる瞬間もあったけれど選ばなかったのは自分自身なのだから、その事についてはキチッと受け止めていく気持ちであったりします。

そのおかげで気持ちとしては結構安定している、というところでしょうか。

おしまいに

たまにはこういう吐露するエントリーも良いかと。ちょっと書きすぎた感あるので、怖くなったら消すかもです。

*1:生々しい話は割愛します