島までは遠い 〜サークルアラウンド株式会社代表佐藤のブログ〜

佐藤正志@サークルアラウンド株式会社のことが少しわかる場所。プログラマーを育てるトレーナーとして、現役のソフトウェア技術者として、経営者の端くれとして、想うことをつづる。

量産型の話から思った老齢世代がやってこなかったことのツケ

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「『(コード)量産型』プログラマを撲滅したい」ですよね?「『量産型プログラマ(ジムみたいな)』を撲滅したい」ではなく。まぁ、いっか。 こちらを拝見して思ったことを書いてみます。

コピペプログラマって現場にそんなにいるんですか?

というのが最初の感想です。今の現場って「コピペはしないほうがいい」と知っている人の方が大多数だと思っていました。私の観測範囲が狭いからかもしれませんが、ガンガン積極的にコピペする人そんなにいない気がするんですよね。なのでこれが問題だという意識は私にはあまりありません。

※ 逆に初学者の人なら、私はコピペでも何でもまず動かして知ることが沢山あると思っています(どんなに綺麗に書かれていても、動かないシステムはダメだと私は思っています)。現場ではこれをやらせませんが、勉強している人はまずやってみるのも大事です。

今の課題って「一定以上の実力を持っている人が少ない」ではないでしょうか

現場の課題はこれだと私は思っています。「良い人いない?」とよく聞かれますし(そしてその要望に合致するような人はなかなかいない)、「Railsのスクールで勉強しました」だけではうまくいっていないのは言わずもがなでしょう。もちろんこの人たちの中に、数年後立派なプログラマーになる人がいる可能性はあります。今の要求には答えられないのかもしれませんが。

どうしてこうなった?

私たち老齢なプログラマ*1がやれなかったことのツケが今の時代に残り続けているのだと思っています。

現場目線では下記のような感じですかね。

  1. 「職人だから」のような都合のいい理由をつけて適切な教育を行なってこなかった。
  2. 上記のために、人が育つ文化を作ることも、仕組み化をすることもできなかった。
  3. 育てるためのマインドやノウハウを持っていないチームばかりになった。

経営者目線ではこうかなぁ。

  1. 普通に仕事をするだけで一杯一杯で、社員に余裕を作ることができない。
  2. 新規に人を雇うにしても、育てる人材をアサインすることができない。
  3. 結果、新人が来ても放置するので育たない。
  4. ヘッドハンティングでしか有能な人材を獲得することができない。

ちょっと違う切り口だと、スタートアップのようなビジネスの考え方は「経営者より優秀な人をこそ雇え」なので、既に優秀である人にしか興味はなく、これから優秀になる人に成長時間をジックリ与えるようなことは難しいんですよね。それは事業のスタイルが「短期決戦で総力戦を常に展開する」からです。私が若い頃にはあまりなかった経営方針なのですが、こういう世の中の流れも影響しているでしょう。

もちろん上記は私の経験からの推察なので別の考え方もきっとあると思います。

過去、個人としては現場レベルでどうにかしようとしていて、自分の周りでは人が育つようにしたかったです。下記の話のイメージです。

ms2sato.circlearound.co.jp

ですが、世代としては負っていたはずの義務を怠ってきていたのだろうと感じています。特に今は経営者であって開発者でもあるので、どっち目線で考えても耳が痛いです。

じゃぁ、何をするべきなの?

文化を作ることじゃないでしょうかね。チームで仕事しながらメンバーが育っていくことが素晴らしいと思える文化。経営者ならそれを推進して社員に育てる余裕、育つ余裕を作ってあげることでしょうし、現場なら、まだ育っていない人のモチベーションを下げずに成長してもらえるようなフォローアップの環境とか。

さらっと書いていますがそんなに簡単ではないと思います。育てることは投資なので、短期的利益を目指したらできません。投資の回収見込みが立たなくてもできません。このケースだと、毎年の売上を至上命題にしていたらできないですし、入社した方が3年で辞めてしまうような会社でもできないんですよね。

つまり経営者としては長く居ついてもらえる会社を目指すことが最初のアクションになるはずです。それと「人を育てられる人」への評価を高くする必要があります。これでお給金を高くしようとか残業せずに帰れるようにしようとか考え出すと、もはや針に糸を通すような感じの話になるんじゃないでしょうか。私もまだまだ挑戦中で、十分なところまではたどり着いていないです。育てる時間に低下する売上をカバーするのに助成金探してみたりとか、ホント泥臭いことやっていると思います*2

あとは育てるのを外注するのも短期目線では良いかもしれません。ただし、あまり外に依存してしまうと社内の文化やメンバーに馴染めない形ができてしまうので、特効薬として使うようなイメージでしょうか。チームビルディングと教育は繋がっていると私は思う為、異質すぎるものを導入するとかえってうまくいかないこともありそうです。

弊社だとトレーニングの事業をやっている都合上、人を育てるノウハウは持っていますし、先輩が後輩をトレーニングすることは本業の修行にもなるので、やるべきことだと位置付けることができます。あとはもう少し効率良くできたらいいなぁなどと悩む日々です。

おしまいに

ダメだダメだという前に、やれることをやっていきましょうよ。

*1:35超えたら定年と言われますからね(笑)40の私なんてもう定年退職なのに嘱託社員で働くお爺さんみたいなものです

*2:注意:助成金も売上にはカウントされないので、やはり短期的な成績としては下がってしまうことを受け入れないといけません。少なくとも会社が潰れたり、余裕が無くなる事を回避する手段としては有効だと思っています